フッ素濃度1450ppmがベスト!歯磨き粉の選び方(成人)

今日は、歯磨き粉について解説していきます。
正しい知識がないと
「あなたのその歯磨き、実は意味がなかった!」なんてこともあるかも…?

どんな歯磨き粉を選べば良いか、成分の解説をしながら、具体的な商品も紹介していきます。

 

Q.歯磨き粉って何を見て選べばいいの?

A.フッ素濃度を見ましょう

実は、歯磨きそのものには虫歯予防の効果がなく、虫歯予防の効果を発揮しているのは、歯磨き粉に配合されているフッ素であったという研究があります。
つまり、フッ素配合の歯磨き粉を使わない「素磨き」では、汚れをとっているだけで虫歯予防の効果はないということです。

 

Q.歯磨き粉の適切なフッ素濃度とは?

A.日常の歯磨きで虫歯の予防効果を期待するなら、フッ素濃度1450ppm

フッ素濃度が低すぎると虫歯予防の有効な効果を得ることができません。
また、フッ素による虫歯予防効果は、その濃度に依存することも分かっています。

 

◎エビデンスがある適切なフッ素濃度について

WHOの報告では、500ppm未満では有効性は明らかになっていないが、1000ppmを超えると500ppmごとに約6%の効果の向上があると報告されています。

1955年から2014年の間で公開された96の研究を対象にしたシステマティックレビュー(文献を系統的に検索・収集して、類似する内容の研究を一定の基準で選択・評価を行う研究)から解説します。

フッ素無配合の歯磨き粉と比較して、1000〜1200ppmまたは1450〜1500ppmのフッ素配合歯磨き粉で歯磨きをした場合、新たな虫歯の発生を抑制できると報告しています。
また、1450〜1500ppmの方が、1000〜1200ppmの場合よりも、虫歯抑制作用が有意であることも明らかにしています。
“じゃあもっと高い濃度にするともっと効果あがるのでは?”と思う方もいるのではないでしょうか。

しかし、1700〜2200ppmや2400〜2800ppmなどとさらに高濃度にした場合、1450〜1500ppmと比較して3年後の大きな差は認められていません。
つまり、2000ppm前後の濃度領域内での比較では、「濃度が高ければ虫歯予防の効果が高い」というわけでは無い可能性があるということです。

したがって現状では、1000以上、中でも1450ppmの物を選ぶのがベストだといえます。
(1500ppmのものは私が知る限りでは販売されていないです。)

参考:Cochrane Database system Rev 2019

 

Q.1450ppmの歯磨き粉ってあるの?高い?どこで買える?歯科医院に行かないと買えない?

A.ドラッグストアで300円程度から手に入ります。
(もちろん当院でも販売していますよ。)
パッケージに必ず”高濃度フッ素1450ppm配合”と書いてあります。

元々、歯磨き粉には薬機法において効能表記が定められていました。
1000ppm以下のフッ素が配合されている場合は、薬用歯磨き類として配合濃度に関係なく”虫歯の発生及び進行の予防”と表記されます。
2016年までは販売されていた歯磨き粉のフッ素濃度は1000ppmまででしたが、2017年に1000ppmを超えて1500ppmを上限として販売が承認されました。
その際、日本歯摩工業会の自主基準として、フッ素濃度が1000ppmを越える場合は、濃度を容器に記載することが取り決められました。

したがって現状のルールでは、フッ素1450ppmの濃度の歯磨き粉にはパッケージへの記載が義務付けられているということです。

ただし、1000ppm未満の場合の表記基準はありません。そのため、国内で市販されているほとんどのフッ素配合歯磨き粉には濃度の記載がありません。

まとめると
”薬用歯磨き粉 フッ素配合”と書かれているが濃度の記載がない場合は、オススメしません。
濃度1000ppm未満であると考えられます。(1000ppm未満の場合、記載義務がないため)
→どの程度フッ素が入っているかわからないため、虫歯予防の有効濃度に達していない可能性がある。
→使っても予防効果は期待できないかも…

 

ちなみに、私が考えるに、2016年以前は1000ppmが販売されている濃度の最大だったため、その慣習で900ppmや950ppmの濃度は記載してある場合もあり、逆に、濃度記載のないものは900ppm未満が多いのではないかなぁと思います。

900ppmは虫歯の予防効果は期待できる濃度ですが、先程のWHOの見解から言うと1450ppmと比べて約6%虫歯予防効果が低くなります。

濃度記載のない歯磨き粉、注意して下さいね。
虫歯予防をしたいのならしっかりパッケージを見て濃度を確認しましょう!

 

結論 :歯磨き粉の選び方

”薬用歯磨き粉 高濃度フッ素1450ppm配合”と書かれている物を選びましょう。
必ず”医薬部外品”の表記があります。
それを選んで探すのが手取り早いでしょう。

 

オススメの歯磨き粉

私がオススメするコスパがいい歯磨き粉は、
LIONさんから発売されている クリニカ アドバンテージ です。

350円程で”高濃度フッ素1450ppm配合”、”医薬部外品 薬用歯磨き”と記載されています。
国内では高濃度フッ素歯磨き粉で一番安く手軽に手に入るのではないでしょうか?

 

参考文献
Walsh T, Worthington HV, Glenny AM, Marinho VC, Jeroncic A, Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries, Cochrane Databgase Syst Rev 2019;3:CD007868

WHO Expert Committee on Oral Health Status and Fluoride Use : Fluorides and Oral Health. WHO technical report series, Geneva:WHO, 1994:26-33

セルフケア指導 脱!誤解等と思い込み今はこうする!最新の解釈&臨床 クインテッセンス出版, 2021

日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会(編). う蝕予防の実際 フッ化物局所応用実践マニュアル. 東京:社会保険研究所, 2017