睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に呼吸が止まり何度も起床してしまい、睡眠が浅くなることで、昼間の眠気、体調不良、高血圧、糖尿病などを起こす病気です。

成人男性の3~4%はこの病気であると推定され、糖尿病とほぼ同じ確率だと言われています。

当院では睡眠時無呼吸症候群に対する保険適応のマウスピース治療にも対応しております。

分類

寝ているときに呼吸が止まる原因は主に2つです。

  1. 空気の通り道が塞がってしまう場合(閉塞型)
  2. 脳から呼吸をする命令が出ていない場合(中枢型)

人口の1~6%、世界で1億人以上が該当すると考えられています。

原因

1.閉塞型睡眠時無呼吸症候群

気道(鼻、口から肺まで空気が通る管)が狭くなって空気が通らなくなることで呼吸が止まります。

原因例:扁桃腺が腫れている、鼻が悪い、舌が大きい、顎が小さい、顎の発育が悪い、太っている

2.中枢型睡眠時無呼吸症候群

脳や神経などの呼吸中枢機能の異常が原因となるケースが稀にあります。

症状

昼間でも眠いのがもっとも有名な症状です。

睡眠時無呼吸症候群の方は、車の運転事故率や死亡率が高いことが分かっています。

睡眠の質が低下することで、体が重く感じられ、注意力が低下(重度の場合では缶ビール1本飲んでいるのと同程度)します。

重度の患者さんは飲酒者よりハンドル操作ミスが多く、交通事故を起こす確率は、通常の2~7倍とも言われています。

他にも、夜間にトイレに何回も行ったり(頻尿)、胸焼けがおきたり(逆流性食道炎)、脈が乱れたり(不整脈特に心房細動)、勃起障害が出る人もいます。

自覚症状はなくとも高血圧、高脂血症、糖尿病、妊婦では胎児への影響、正常圧緑内障などの病気を引き起こす可能性があります。

したがって健康寿命を延ばすために、睡眠時無呼吸症候群の予防と治療は大切だといえるでしょう。

治療法

下顎を前に出す口腔内装置であるマウスピース(オーラルアプライアンス、通称OA)を付ける治療法があります。

歯科で治療を受けるには、事前に医療機関での睡眠検査および確定診断が必要です。

医師から診断された場合、OAは歯科医院で保険適応となります。

費用は保険適応で7000円程度になります。(装置代金)

一般社団法人日本呼吸器学会

 

当院での治療の流れ

初診時(来院1回目)

医療機関からの紹介状や睡眠検査の結果を確認します。

歯科的にマウスピース(OA)を使用して問題ないか確認するために診査・診断します。

必要あればレントゲン撮影を行います。

問題がなければ簡単な歯のクリーニングを行い、その後マウスピース作成のための歯型を取ります。

(*重度の虫歯・歯周病などがある場合、先に歯の治療を行う必要があり、すぐにマウスピースの製作に取り掛かれない場合もあります。)

来院2回目

マウスピース(OA)のお渡しと調整を行います。

お口の中で実際にはめてもらい、顎の位置決めと仮装着をおこないます。

使用・管理方法に関してご説明します。

来院3回目

一週間程度使用してもらい、使用後問題がないか確認します。

フィット感・顎の筋肉痛・顎の関節の痛みがないかを確認します。

調整が必要な場合は調整します。

必要な場合はレントゲン撮影を追加で行う場合があります。

それ以降は具合がよくなるまで患者さんと相談しながら調整を行います。

医療機関への効果判定依頼作成

マウスピースを日常的に使用できるようになったら、無呼吸状態が改善されたかを検査する紹介状を紹介元の医療機関に送ります。

定期健診とメンテナンス

睡眠状態、装置の状況、口と顎の状態を把握するため定期的に診査します。定期的に診査することで、マウスピースの効果が持続します。

参考文献

成人の睡眠時無呼吸症候群診断と治療のためのガイドライン:睡眠呼吸障害研究会、日本呼吸器学会、日本呼吸管理学会、日本睡眠学会、日本気管食道科学会、日本口腔・咽頭科学会

秀島雅之:特集 口腔顎顔面に関連する疾患とその治療の現状、睡眠時無呼吸症の口腔内装置による治療;Clinical calcium 27-10,1393-1402,2017.10.