歯を診る場所が、なぜ本を選ぶのか
歯を診る場所が、なぜ本を選ぶのか
当院は完全個室の診療室です。その個室の一つひとつに、絵本を置いています。
歯医者さんに絵本?と、不思議に思われる方もいるかもしれません。今日はその理由を、少しだけお話しさせてください。
治すことと、育つこと
当院は、私一人で診療にあたっていることが多いクリニックです。そのため、他の患者さんを診ている間、個室の診療室でお待ちいただく時間がどうしても生まれます。5分、10分とお待たせしてしまうことも、正直なところ少なくありません。
その時間を、何かと出会う時間にできたら——。
個室それぞれに絵本を置いているのは、そんな思いからです。
お待ちいただく間に、お子さんがふと一冊を手に取ってくれたら。その時間が、その子の中に小さな種を残すかもしれない。
歯を治す場所が、同時に何かと出会える場所であってほしい。「治すこと」と「育つこと」は、私の中では地続きのものなんです。

フォーエバーデンタルクリニック・キッズルーム絵本棚
一冊一冊に、理由があります
だから当院の本は、なんとなく集めたものではありません。子どもたちに手渡したいテーマを考えて、一冊ずつ選んでいます。
ひとつは、歯みがきや歯の体の仕組みを描いた本。
私たちの専門だからこそ、楽しく「歯を大切にする気持ち」が芽生えるような本を選んでいます。歯医者は怖いところではなく、自分の体を知る入り口なんだと感じてもらえたら嬉しいです。


ふたつめは、安全や防災に関する本。
自分の身を守る力は、生きていくうえで欠かせないものです。小さなうちから、楽しみながら自然と身につけてほしいと思っています。

みっつめは、考える力や、いまの時代の関心ごとを扱った本。
AIやSDGsといった、これからの社会を生きるうえで避けて通れないテーマです。答えを覚えるためではなく、「なぜだろう」と自分の頭で考えるきっかけになってほしい。変わっていく世界を、自分の問いとして受けとめる力を育みたいと思っています。

そしてよっつめは、世界を切りひらいた女性たちの本。
津田梅子さん、ヘレン・ケラーなど。彼女たちの生き方を知ることは、「自分にもできるかもしれない」という小さな勇気につながります。

歯科医院は、女性が中心となってチームをつくり、支えている場所でもあります。
当院でも、子どもたちは診療の中で、歯科衛生士という、第一線で活躍する女性たちと必ず触れ合います。
女性の力は、本当に大切なものです。
だからこそ、その力強さや可能性を感じられる本を、子どもたちのそばに置いておきたいと思っています。男の子にも女の子にも、ぜひ読んでほしい一群です。
0歳から小学生まで

当院の本棚は、0歳くらいから小学生まで、幅広い年齢に合わせて揃えています。きょうだいで来院されても、それぞれの「いま」に合う一冊がきっと見つかるはずです。
成長に寄り添う本棚でありたい。そう思っています。
私が本を選びに行く場所
これらの本を、私はどこで選んでいるのか。
名古屋市・伏見にある 「えほん生活 WAKASA&Co. BOOKS」 さん。

まさに絵本の王国です。
約15,000冊もの絵本を取り扱う絵本専門店で、定番から最新作、海外の絵本まで、本当に幅広いジャンルが揃っています。

この書店は、感性を育むことを大切にする北欧フィンランドの教育からヒントを得たお店なのだそうです。
詰め込むのではなく、感じる力を育てる。その考え方に、私自身とても共感しています。奥にはキッズスペースもあり、家族で訪れるのにもぴったりです。
当院の個室に並ぶ一冊一冊は、私がこのお店で実際に手に取り、子どもたちの顔を思い浮かべながら選んでいます。


最後に
本を読みなさい、と言いたいわけではありません。ただ、お待たせしてしまう時間が、もしお子さんにとって一冊との出会いの時間になったなら。それだけで私たちはとても嬉しいのです。
歯を通じて、そして本を通じて。この地域の子どもたちの未来に、少しだけ関わらせてもらえたら。
そんな気持ちで、今日も個室の本棚を整えています。
参考までにWakasaさんの基本情報です。
営業時間9:00〜20:00、愛知県名古屋市中区栄2丁目2-1 広小路伏見中駒ビル1階、伏見駅4番出口から徒歩約1分。
https://books.wakasa.jp/shop/c/c50/
